オンラインゲームやスマホアプリの普及に伴い、ゲーム企業のカスタマーサポート(CS)部門で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」被害が深刻化している。運営企業への暴言や脅迫的要求、深夜・早朝の連続問い合わせなど、スタッフの精神的負担が限界に達しつつある。
ある大手ゲーム会社の元CS担当者は、「アイテムの補填対応に不満を持った一部ユーザーから、SNSで個人名を晒され、家族にまで嫌がらせが及んだ」と証言。プレイヤーの“正義感”や“課金者意識”が暴走し、対応スタッフが疲弊するケースが後を絶たないという。
実際に複数の企業が内部調査を実施しており、以下のような被害内容が報告されている。
カスハラの主な内容 | 発生件数(2024年) | 備考 |
---|---|---|
暴言・人格否定 | 約2,300件 | メール・チャット中心 |
補填要求の繰り返し | 約1,800件 | 内容に正当性がない場合も |
脅迫・通報の乱用 | 約950件 | 法的措置を検討した例あり |
SNSでの名指し中傷 | 約400件 | 社員名の投稿や晒し行為 |
業界団体も動き出している。日本オンラインゲーム協会(JOGA)は今年6月、各社に対し「従業員の心身を守る対応マニュアルの整備」を要請。厚生労働省も昨年、カスハラ防止に関するガイドラインを発表しており、企業は対応強化を迫られている。
一方、ユーザー側からは「問い合わせが無視された」「課金したのに対応が冷たい」など、企業の対応品質に不満を持つ声も根強い。一部の過激行動が全体のユーザーの印象を悪くしかねず、双方の信頼回復が課題となっている。
“遊び”の場であるはずのゲームが、働く人々の職場ストレスの要因になってしまっている。業界全体での意識改革が求められている。